下有井公民館の再生

7月の発災から数日経った頃、まだびしょびしょになっている道路を民生委員さんと歩き、
土手沿いの公民館にたどり着いた。
 
『下有井公民館』
 
真備町にある6小学校区、二万・箭田・呉妹・川辺・薗・岡田のうちの『薗地区』。
薗地区の中から更に、市場・有井地区と区分され、
 
『有井地区』は、末政川の決壊の影響を強く受けた地域で、
特に被害の大きかった地域の一つです。
この地区のサテライト(前線基地)として、この公民館を使うと。
 
末政川沿いにありながら、奇跡的に被害の少なかった下有井公民館でしたが、
この被害の大きかったエリアのサテライト(前線基地)として使うには、
土手沿いという立地や駐車スペースの無さ、トイレなどの設備のことを考えても

ベストだとは到底思えなかったです。

 

だけど当時は地図上他のどこを考えても、ここしかありませんでした。

時間も物も人もいないし、やると決めたらとにかくやるしかない。
下有井サテライト、を構えました。
以来、地域のニーズ調査、現場段取りの拠点。
社協ボランティアさんと重機・大工・看護などの専門ボランティアを含むチーム旅商人ボランティアを派遣し、多い日には200人ものボランティアを受け入れ拠点となりました。

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また、余裕のある日には珈琲を淹れたり、マッサージ師さんを呼んだりと少しずつではありますが、地域の方々の拠り所となりました。
 
活動を進めながらも、数センチとは言え床上浸水、長い目で見れば、公民館自体の修繕などの必要もあり、サテライトとしての必要性が一定まで落ち着いたら、地域に、町内会に、お返しする予定でした。
状況が変わったのは、9月。
 
県による末政川堤防の拡幅工事によって川沿い数十件の立ち退き・用地買収が決定し、
『下有井公民館』もその範囲に含まれたのです。
 
公民館の今後の話を町内会の前副会長さん、役員さん、民生委員さんにお話にいきました。
 
『ここももう立ち退きが決まってしまったし、先は長くない。どうせ管理する余裕のある人間もいないし、返すくらいだったら、地域のためでも、自分達の活動のためでも、君達の思うように使ってくれた方が嬉しい』
 
その他僕たちボランティアへのたくさんのありがたい感謝のお言葉の中に、
半ば諦めのようなニュアンスも含まれていたのを感じ取りました。
 
『余裕がない』
新旧役員の中の多くの方も、突然の用地買収立ち退きエリアに含まれたお宅だったのです。
 
色々な思いの中で、公民館の運用・管理人を任されました。
 
情報拠点や地域サロン、炊き出し、具体的に何をするか。を考えながらも
地区全体の被害の差、堤防拡幅工事の立ち退き問題。
たった3ヶ月、真備に身を置いた自分のスピード感と、今の『有井地区』の進むスピード感を揃えることに重きを置きました。
 
今、走るのか。歩くのか。
 
とりあえずやることはシンプルで、
掃除して、畳を入れました。
 
・サロン活動などの地域の拠り所、公民館としての再生
・真備再生ベース竹燈としてのサブベース
 
 
ざっくりとした使い方だけで、
まずはシンプルに人が集まる場所。
顔をあわせる。会話をする。
ただそれだけ、だけどそこから始まる無限の可能性を作ることだけを考えました。
 
畳は避難所などの物資の余りとなっていたものをいただきました。
 

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畳を入れ、珈琲を淹れました。
美味しい珈琲やみかんジュースなど用意しております。
 
地域の方の拠り所。
 
井戸端会議所。
 
役員会議やミーティング。

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ママさん達を中心とした地元団体の立ち上げをお手伝いしています。
 
 

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走り回るこども達、
井戸端会議が盛り上がるママさん達、
畳にあぐらかき珈琲片手に笑う先輩方、

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まだ始まったばかり。
 
いつ立ち退き予定日が決まるかもわからない奇跡の公民館に、
有井地区のためにもう一活躍してもらおうと思います。